コンビニから数分後、自宅アパート前にタクシーが停まった。
「ほらよ」
タクシーから降りると、流星からさっき買った食パンを渡された。
「…ありがとうございます」
ちゃんと、5つー…
本当に、明日の朝来る気?
渡された食パンを見ながら、そんなことを思っているとー…
「ちゃんと戸締まりして寝ろよ」
「!」
ぽんぽんっと、流星の大きな手が頭を撫でた。
「…はい」
ドキドキ。
自然とこういうことをしてくる流星に、ドキドキする。
「じゃあ、またな。運転手さん、出して下さい」
流星が運転手さんに向かって言うと、ドアが閉まりタクシーが走り出した。
「…本当に…何なの…」
渡された食パンを大事に持ち、遠ざかって行くタクシーを見つめる。
何だかわからないのに、ドキドキしてしまうし。
私が一人暮らし?と聞いて、仕事終わりに朝ご飯を食べに来ようとするし。
まだ、出会ってからそんなに日が経っていないのに。
「強引すぎる…」
ボソッと出た言葉は、静かに消えていった。