ボソッと言った私の言葉を聞いていたんだー…




さすが、No.1ホスト…



と、感心している間にタクシーはコンビニの駐車場に停まった。


「着きましたよ」

タクシーの運転手さんがそう言うと、後部座席のドアが両方開いた。


「あ…すいません」

慌ててシートベルトを外していると、隣に座る流星もシートベルトを外した。



…え?
まさか、一緒に行くの?


外したシートベルトを握り締め、流星の行動をじっと見つめているとー…



「早くしろよ。運転手さん待たせんな」


そう流星は言うと、先にタクシーから降りた。


確かに、運転手さんは待たせちゃいけないけど…




「ほら。行くぞ」

「!」


先にタクシーから降りた流星が、いつの間にか私が座る側の後部座席のドアを開けていた。


い…いつの間に…


流星の素早い行動に驚いているとー…



「待たせんなって言ってんだろ?」

「!」


流星は七海の右の手を握り、強引だが優しくタクシーから降ろした。


ドキドキ…


「…」

「すいません、すぐ戻るんで待ってて下さい」

「はい」


ドキドキ…



タクシーの運転手さんとのやりとりの間も、流星の手は握られたまま。



ドキドキ…



男の人に手を握られたのなんて、初めてなんですけど!




自分の手よりも数倍大きい、流星の手。


言葉は強いが、優しく握る大きな手の温かさにドキドキしてしまう。