ピルルー…ピルルー…
タクシーの車内に、着信音が鳴り響く。
ピッ
「…はい」
流星がズボンのポケットからスマホを出し、電話に出た。
「…はい。…はい」
窓の外を見ていた視線をコソッと、隣に座る流星に向けた。
「わかってます。行きますよ…はい」
真剣な表情で話す、流星の横顔。
「…」
昨日も電話きてたよね?
てかホストなのに、この時間にここに居ていいのかな?
テレビとかのドキュメントを観た知識しかないけど、ホストって夜の仕事だよね?
今の時刻は、20時過ぎー…
No.1ホストなのに、ここに居ていいの?
てか、私なんかにかまってる場合じゃないんじゃないの?
そんな疑問を抱きながらこっそりと、横目で流星を見ているとー…
「!!」
ぶにー…
「じゃあ、1時間後に…はい」
電話をしながら流星の手が、頬をつねった。
なっ…
何!!!?