バタンー…
タクシーの後部座席に並んで座る。
ドキドキ…
まだドキドキしていて、流星の顔を見ることができない。
「…」
何でこんなにドキドキしてるの?
別に好きとかそういうのじゃなくて、むしろ警戒すべき相手にー…
「…あのおばさん、喋り出したら止まらないよな」
「…え?」
隣に座る流星が、ボソッと喋り出した。
おばさんって…田嶋さんのことだよね?
「俺は七海を待ってるだけなのに、17時ぐらいからずっと向かい側の席に座ってマシンガントーク」
「…」
田嶋さんとの会話を思い出したのか、流星は大きな溜め息をついた。
「結局、20時ぐらいまで一緒に居たから。No.1ホスト捕まえて、店だったら3時間で100万円はもらわないと割りに合わない」
さっ…3時間で100万円!!!?
流星から出た金額に、目を大きく見開く。
3時間で100万円ってことは1時間、約33万円。
私の時給、1時間850円ー…
…
…
…
やっぱりありえない世界だ…
タクシーの窓の外を見て、遠い目をする。