あれから学校での嫌がらせはピタッとなくなった。と奈津から聞いていた。

あの5日間は一体誰がなんのためにやっていたのか結局学校側も犯人を見つけることが出来ぬままの曖昧なまま事件は風化したらしい。

そして生徒たちは何もなかったかのように事件が起こる前の日々を取り戻し、変わらぬ笑い声を教室に響かせながら過ごしている。と、これまた奈津から聞いていた。

どうしてあの3人だったのか、どうしてあんな嫌がらせをしたのか、私に関係があるのか無いのか、誰も何もわからないまま11月が終わり、ついに1年の最後の月が「やぁ!」なんて言いながら顔を出すように私に破られて12月のカレンダーが見えた。

下旬には私が先月に丸をしたコウのアルバムの発売日に目がいき、自然と笑顔になる日々に私は少し心がウキウキしていた。

なのに、それなのに奈津が余計な事を言うから、そのことばかり考えるようになってしまった。

その始まり。奈津の何気ない一言。


「アルバムのタイトルは?」


言われるまでとくに気にもしていなかった。

「え、書いてないの?普通もう発表されてるっしょ?!つかジャケットもまだ?」


続けて放たれた言葉の矢が私の胸にグサグサッと刺さった。