「んー…頭いた…」

翌朝目を覚ますと、頭に激痛。完全に二日酔い。
見慣れない天井が目に入った後、慣れない香りと温もりに包まれていることに気付いた。

「あ、起きた」
優しい声のする方を向くと、大志が頭を撫でてくれた。
「お、おはよ…」
すぐ近くにある大志の顔。大志に腕枕をされていることに、暫く経ってから気付いた。
「あ、ごめん、重くない?」
恥ずかしくなって体を起こそうとすると、ぐいっと引き寄せられた。
「全然重くないよ。紬、いい匂いする。ちょっとだけこうしてていい?」
抱き寄せられる形で、訳が分からずわたしはただ固まっていた。

「だ、大志くん?ごめん昨日のことあんまり覚えてないんやけど、わたし変なことしてなかった?」
「昨日ベロベロに酔ってたよ。ウイスキー空けて俺ベッドでゴロゴロしてたら紬も来たから、腕枕して寝ただけだから、特に変なことはしてないよ」
優しく笑いながら教えてくれた。
「昨日、俺と同じシャンプー使ったはずなのに、紬だけめっちゃいい匂いするんだけど。落ち着く」
起きて数分しか経っていないのに、腕枕されてて、抱き寄せられて、そんなことまで言われて、わたしの頭はショート寸前だった。

「でもさすがに女子高生相手に手は出してないから安心して?」
「あ、うん…」
会うのは3度目。こんなに近くにいるのは初めてなのに全然嫌じゃない。
むしろ心地良い。
抱き寄せられた身体の温もりも、慣れない大志の匂いも、安心する。
ずっと、こうしていたい…
わたしはこの一晩で、完全に恋に落ちていた。