「え、めっちゃ綺麗!全然やらしい感じじゃない!マッサージチェアある!すごい!」
いやらしい雰囲気でムードランプなんかが付いている部屋を想像していたわたしは、あまりにも普通の部屋に驚いた。
「はは、はしゃぎすぎだって。もしかして初めて来た?」
「うん!初めて!」
微笑ましそうにわたしを見る大志を見て、心臓の奥がきゅうん、と鳴った。

順番にシャワーを浴びて、お酒を開けた。
昨日の飲み会で、限界までお酒を飲んだことがない、という話をしていたので、今日は限界を越えようという話になり、強めのお酒を幾つか買った。

「じゃあ、ゲームしながら飲もうぜ」
ウイスキーをストレートでグラスに一口分注ぎ、大志は言った。
お酒と一緒に買ったトランプをシャッフルしながら、ブラックジャックというゲームを教えてくれた。
「伏せたカードを取って、21に近い方が勝ちな。エースは1にもなるし、11にもなる。21に遠い方がこれを飲む。でも、21超えたらアウトだから、超えた人も飲む。おっけ?」
「おっけ!負けない!」

700mlのウイスキーが空っぽになるまで2人でショットを繰り返した。
口直しのチェイサーに選んだ水が口直しにならなくて、ビールの炭酸で味をごまかすことを覚えた。
40度のウイスキーをショットで一気に流し込み、更にビールで口直し。
アルコールにアルコールを重ね、今までにないくらいに酔っ払った。
ボトルが空になる頃には、わたしの記憶はなかった。