大志の車の助手席から、高速道路のオレンジの街頭を眺めていた。
遠出したときにしか見ないオレンジの街頭が、非日常感があって好きだった。

「今更だけど、陽佑、家にいんのかな?」
本当に今更。あと数分で着く距離まで来てしまってから、大志は陽佑に電話を掛けた。

「あっ、陽佑?今日お前ん家泊まりに行ってもいい?…え、まじ?…ああ、わかった…いや、1人だよ…おけおけ!じゃあまたな!」
残念そうに大志は電話を切った。

「やべ、陽佑今日実家帰ってていないらしい。紬といるっつったらあいつヤキモチ妬いちゃうからとりあえず内緒にしちゃった」
当てが外れたのになんだか楽しそうだった。

「え、どうするの?家帰る?」
「いや、それはだるいし、俺はホテルとかでも全然いいんだけど、紬はどう?」
「わ、わたしもいいよ」
ホテル。ラブホテル。初めてのラブホテル。
初体験のときは彼の家だったし、地元は田舎なので近くにホテルはない。
でも、何をするための場所かは知っている。
少し戸惑ったが、自然と了承してしまった。

大志がすぐ手を出すような人には見えなかったし、正直、手を出されてもいいや、くらいには思っていた。

これから何が起こるのか緊張しながらも、途中のコンビニでお酒とつまみを買い
初めてのラブホテルに足を踏み入れた。