しかし、私が疑問を投げかけたことで、久保さんの顔色がさっと曇った。


あれ？


私、質問してはいけないことをしたのかな。


目を見開く私に、お母さんが笑顔を消して真剣な表情を見せた。


「あのね、恭平くんはご両親を事故で亡くしてね、そのせいで友達があんまりできなかったの。親がいないっていうだけで笑われたから、そのことにあまり触れたくないみたい」


また失礼なことを聞いてしまった。


相手にとって古傷をえぐるひとことを迷うことなく投げかける私は、なんてバカだろうと思ってしまう。


「すみません、久保さん。私ったらまた失礼な発言をしてしまって……」


「いや、気にする必要はないよ。たしかに俺のことをあまり覚えてない梨沙ちゃんが疑問に思うのも無理はないよ。悪いのは梨沙ちゃんじゃない」


傷つく言葉をぶつけられたのに、久保さんは悲しそうな表情をするどころか笑顔を浮かべた。


私も直美とヒロエと紀子の前で笑顔を素直に見せられたら、どれだけ幸せなことか。