そんな絵を見たから、現実で起こるかもしれない出来事にならないように防ごうとしたってこと?


千尋の言った“私に似た女の子”と“直美に似た女の子”は、間違いなく私と直美だ。


“教室らしき場所”も教室で間違いないだろう。


でも、なんで千尋が恐ろしい絵を見なければならなかったんだろう。


首をかしげて考え込む私に、千尋がさらに説明を続けた。


「梨沙が大坪さんに殴られるって想像しただけで怖くなったの。前に見た絵の風景が現実で起こったから、朝見た絵も本当に起こっちゃうんじゃないかと思って……」


前に見た絵。


豊洲さんが死んだと知った日に千尋が見たという絵のことだとすぐに理解した。


それを聞く前に千尋は、茶色い風景に血まみれの女の子が描かれた絵を見たと言っていた。


その絵に描かれた血まみれの女の子は豊洲さんではないかと私は推測したが、千尋は信じようとしなかった。


しかし、私が千尋の見た絵が予知夢のようなものだと推測したので、さすがの千尋も納得せざるを得なかった。