びっくりする気持ちをおさえて、職員室のドアをノックする。


2回ノックして誰かの声が聞こえた直後にゆっくりドアを開けた。


昼休みという時間帯であるせいか、職員室にいる先生は4人しかいない。


その中に担任の先生がいたのでひと安心する。


近くにいた別の先生に、担任の先生に用があると話すと、軽くオッケーしてくれた。


いまだに顔色の悪い千尋をチラッと見てアイコンタクトしたあと、担任の先生のもとへ歩み寄る。


私と千尋の存在に気づき、なにかの作業をやめてこちらに体を向けた先生。


「どうした、なにか用事か?」


「先生。私、クラス代表として豊洲さんの葬儀に参列します」


「梨沙……⁉︎」


はっきりとした口調で話す私に、千尋がギョッと目を見開いた。


それもそうだ。


私が葬儀に参列したいと言うとは思ってなかっただろうから。


普通なら千尋が葬儀に参列すると思うだろう。


千尋は豊洲さんと一番仲がよかったし、学級委員を務めている。


けれど、そんな千尋をスルーして私がクラス代表になると決めた。