すべての授業が終わり、私は今屋上に行くところ。
「優乃、行ってらっしゃい。でも、なんかされたらすぐに私に電話してね。すぐ駆けつけるから。」

「うん。ありがとう。行ってきます」

屋上のドアを開けると、奏真さんがいた。 奏真さんは私に手招きしている。

「優乃って呼んでもいい?僕は奏真でいいよ」

「えっ?はい。話ってそれですか?」

「違うよ。僕、優乃の事が好きなんだ。だから、付き合ってもらえないかな?」

「えっ!?あの私達初めて話しましたよね?」

「違うよ。もしかして覚えてない?半年前、病院の待合室で話したこと」

「!?」

「あの時、待合室で1人で泣いてる子がいるなーって思って話しかけたら、同い年だって言うからそのまま病院の屋上で話したじゃん。僕、いろいろ相談されたんだけど。その時、ひとめぼれしたっていうかなんていうか...。もう会えないって思ってたら高校一緒だし、クラスまで一緒。だからもう運命感じたんだ。」

あっ!あの時の人だったんだ。あの時、脳腫瘍だって診断されてショックで泣いていたから覚えてないよ。どうしよう。私、病気の事言っちゃったっけ?

「あっ!思い出しました。あの、私何を話しましたか?」

「えっーと...。なんのために自分は生きてるのかとか。でも何でそんなこと聞いたの?」

「えーと...。」

「言いたくなければ言わなくてもいいよ。で、告白の返事は?」

「すみません。私、今は誰とも付き合えないんです。本当にごめんなさい」

ごめんなさい。私と付き合うと、後で後悔します。

「そっか...。じゃあ友達になろう。それならいい?」

告白断っといて友達にもなれないとか言えないよ。

「はい」

「じゃあ今から友達だから敬語は禁止!あと、僕の事奏真って呼んで!バイバイ。また明日!」

それだけを言うと、奏真はいなくなった。

えーっと...。  あれ? 
私、もう誰とも友達にならないって決めてたのに。 どうしよう。 

でも奏真くんって案外話しやすい。それに私が泣いていた理由を無理に聞かないでくれた。やっぱり噂どうり奏真くんは優しいみたい。だって病院で泣いてる人にふつう話しかけないよね。 奏真くん、私なんか忘れてもっと幸せになれる人と付き合った方がいいよ。