[優乃side]

 私は2週間前に高校に入学した。友達は笑夏だけ。私はそれでも幸せ。

幼なじみの笑夏はとてもしっかりしていて、いつも私の事を守ってくれている。

私がはっきりものを言えない性格だから、いつも助けてくれる。


 私はもう新しく友達は作らない。 だってその人が悲しむ事になってしまうから。
 
私は、3カ月前に脳腫瘍と診断された。その時にはもう手術出来ない状態にまで進行していた。
余命は長くて1年、短くて数ヶ月。

だから私は今この瞬間を一生懸命生きる。笑夏、病気の事、秘密にしていてごめんね。

私は笑夏に、病気人としてじゃなく、普段の私として最後まで見ていてほしいから。

そんな事を考えながら私は寝た。


 朝起きると、いつも一番先にやることがある。机の引き出しから日記ノートを出して読む。
 脳腫瘍になると記憶が少しずつ失われる可能性があるから。昨日の出来事などを覚えているかを確認してから学校に行く。

家の玄関を出ると笑夏が待っていた。

「優乃、遅いー。3分遅刻でーす」

「ごめん、ごめん。髪結ぶのに時間かかっちゃった」

今日は、いつもより30分早く起きたから、いつもは結んでない、真っ直ぐなロングヘアをおだんごヘアにしてみた。

「優乃はおだんごヘアも似合うねー。すごいかわいいんだけど」

「ありがとう。でもちょっと恥ずかしいかも......」

「大丈夫だって。あっ!急がなきゃ!」

「うん」