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あれ?
あれからどのくらい経っただろう。
河川敷は知らぬ間に
人気がなくなり
日は沈みかけて、
空は赤と青の
グラデーションのカーテンを
引いている。
ださい部屋着の上に羽織っていたコートの
ポケットからスマホを取り出した。
真希ちゃんが
心配してるようだ。
着信が5件もある。
サイレントモードにしてたから
気づかなかったや。
私は電話をかけ直すことにした。
『もしもし?ゆずちゃん、
大丈夫?』
「うん、用事終わったから帰るよ」
『なんか、ごめんね。
潤なら帰ったから』
ごめんねって…
真希ちゃんは、
何を謝ってるんだろう。
私が部屋着の時に課長を連れてきたこと?
彼氏がいたって隠してたこと?
それとも、
私が課長が好きって知ってて…
いや、それはない。
私が課長を好きなことは
川崎さんにしか言ってないからな。
そもそも真希ちゃんと
課長が知り合いだなんて
知らなかった…