忘年会の夜の大宮課長は 幻の姿だったに違いない。 翌週会社へ行くと、 いつものいじわる課長が待っていたからだ。 朝遅刻ギリギリで会社に着き、 着替えを済ませ、更衣室から 廊下へ飛び出した時、 大宮課長とぶつかりかけた。 「す、すみません!」 「……。なんだ、お前か」 意地の悪い表情で 何かをチェックするかのように 私の頭の先から爪先まで 二往復くらいじーっと見ると なぜかふっと笑った。