1




「美紀ー!!この後、体育祭実行委員あるんだけど、生徒会もある?ほら、先週生徒会と連携して会議したじゃん!!」
「あ、今週も一緒だよ!先週、プログラム決まったから、ここからは予算とかもっと詳しいところ決めていくよ!」

生徒会副委員長の私、山内美紀は来月の7月20日にある体育祭に向けて体育祭実行委員と一緒に着々と準備を進めていた。
体育祭、それはこの大鳳高校にとって文化祭と並びとても盛り上がるイベントだ。毎年、応援披露が人気だったりする。

「ほんと!やーったね!!もう美紀と一緒に仕事するの楽しくて仕方ないよ。」
「優子、ちょっと盛ってない?」
「そんなことないよ!本音本音!!!」

ほんとに優子の明るさはまるで太陽のようだ。ただいるだけで周りの人も明るくなる。一種の魔法のようだ。

「なーなー!!生徒会と連携ってまじ?」
「うん!美紀が言ってるんだから間違いないよ!!」
「くっそー!生徒会に、部活の先輩いるからこえーんだよなー」

なんて言いながら、幼なじみでもう一人の実行委員でもあるしょうちゃんこと竹中翔龍は、肩を抱えて軽く身震いした。

「しょうちゃん、またあの先輩と喧嘩したの?」
「ま、そんなとこ?今度の大会で、俺がスタメンで出ることになったんだけどさ。その先輩サッカー歴長くて、年長の時からやってるらしいんだけど怪我してスタメン外されちゃってさ。俺、サッカー始めたの中学ん時じゃん?」
「しかも、幽霊部員。」
「そーそー!だから、やっぱ納得いかないらしくってさ。おまけに俺後輩だし。」

なんだか、漫画のようなシチュエーションだなと思った。やっぱり、運動部だとそういうことも多いのかな?と思ったりした。

「ちょっとー、うちのわかんない話しないでよー!!ほんと、二人仲良いよね。もしかして、夫婦?」
「はー?ちっげーよ!」
「そ、そうだよ。辞めてよ、優子!」

優子は私がしょうちゃんのこと好きだって知っていてこんなことをする。私にとってはいい事かもしれないけど、これじゃあしょうちゃんが迷惑する。

「と、とりあえず生徒会室行こ!!遅れちゃうよ!」
「だな!」
「あ、ちょ待ってよー!!」

これ以上何か言われないうちにさっさと行ってしまおうと思った。


***


「いやー!やっぱ予算ギリギリだったなー!」

学校帰り。私としょうちゃんは、同じ家路を通る。

「うん。やっぱり、後夜祭がねー。焼き鳥やるってなったらそりゃあギリギリになっちゃうよー。」
「だよなー。けど、今年は去年より盛り上がるんじゃね?焼き鳥なんて最高だろ?」
「ふふ、そうだね。」

学校までは、徒歩で15分ほど。私にとって、この15分間は一日の中で一番好きな時間。夕日に照らされて、登る坂道はまるでドラマのワンシーンを切り取ったように綺麗だ。

「やっぱり、実行委員って楽しいな!」
「やるがいあるよね、委員会って。」
「うん、俺こんな本気で委員会やろうって思ったの初めてかも。」
「しょうちゃん、小学校の時の保健委員、いっつもサボってたよね。」
「だってよー、保健室の消毒液の匂い苦手なんだもん。」

そう言いながら、鼻にシワを寄せる姿も愛おしくて仕方ない。