『美桜〈みおう〉〜!先行っちゃうよ〜!』
玄関の方から声が聞こえた
「まって〜もうちょっと......よしOK。お待たせ〜!音葉〈おとは〉」
制服のリボンを整えて鏡でチェックしてから玄関に向かうと、
「遅いよ〜!入学式くらい早く起きなよ。」
音葉は玄関のたたきに座って待っていた
音葉とは家族ぐるみの付き合いで、当たり前の様に玄関に居ることは多々ある。
お母さんからすると、
「第2の娘が出来て嬉しいわ〜!」 らしい。
当たり前の様に玄関に座っている音葉は呆れ気味にこっちを見ている。
「大変お待たせいたしました!あと、起きたけどまた寝ちゃっただけ!!」
「それ起きたって言わないから」
音葉は呆れを通り越して笑っている。
「えー!でもさ春って気持ちいいし...」
私が一生懸命説明しようとすると、
「えー!じゃない!早く行かなきゃ遅れちゃうよ?
初日から遅れたら悪目立ちするよ〜!」
と、言って音葉は走って行ってしまった。
ここに残って居るのは、私、久世美桜〈くぜ みおう〉だけ...寂しい〜。
音葉はだいぶ先で手を振っていて走らないと追いつきそうもない。
「もぉ〜せっかちだなぁ音葉は」
そんな事を呟いてみながら、私は中学校への通学路を走り出した。