「一番オススメはこのメーカーのミルクティーかな。
甘いけど甘すぎずで飲みやすいよ」


「へぇ……こないだもミルクティー買ってくれたけど。ミルクティー好きなの?」


「うん、とっても!」


「あ、いいよ。コップは俺が持つから。
エリカは自分のキャンバス持って」



オススメのミルクティーを注いだコップを受け取ろうとすると、そうやんわり断られた。



「わかった」



手ぶらでキッチンを出て、来た道を戻る。


キャンバスは入り口のすぐ側に立てかけられていたはずだ。


真っ白なキャンバスとか、その他画材が諸々ストックされているところに。



そこにたどり着くまでの廊下には、たくさんの絵がかけられている。



「あ!こないだのアマリリス!」



一週間前には何もなかった場所に、見覚えのあるアマリリスがかかっていた。


すごい。見覚えは確かにあるけど、一週間前よりももっと細かくて奥が深い絵になってる!



完成したんだ。


黄色で彩られた、赤色のアマリリス。


鉢には二本植えられていた気がするけど、絵に描かれたのは一本だけだった。



「隣にスペースを開けてみたんだ。
エリカの絵、完成したら飾りたい」


「え!?私のも飾るの?」


「うん。………ダメ?」


「ダメ、じゃないけど…。
私なんかじゃ、並べられるほど上手く描けないよ…?」


「上手いとか、そういうのは関係ないんだ。
見たいのは世界だから。上手い下手は別に、どっちでもいい」


「そっか…。わかった、頑張るね!」


「うん」