✳︎ ✳︎ ✳︎
「うおーっ!今日も『in成宮ワールド』すっげぇな!」
そう言ってワッと美術部が盛り上がりを見せたのは、すっかり日が傾いて空が赤みを帯びてきた頃だった。
季節の変わり目だからか、数日前より確実に日が短くなっている。
長袖の制服や、カーディガンを羽織っている人もちらほら見かけるようになっていた。
「本っ当にすごいねぇ。
暗い色も使ってるのに、全然重たい印象になってなくて」
「マジで、この課題で青なんて使うやつ成宮くらいだよなあ」
「食べ物に青って一般人にはタブーにしか思えないわ」
同意の声がそこかしこから上がる。
セイジのフルーツは見事に私が渡した青がメインになっていて、おおよそ食べ物の色ではないその色合いが何故か目の前のフルーツそのものに見える現象が、より一層顕著に感じられた。
誰もが、その青がセイジの世界から来ていると信じて疑わない。
そんな中。
「エリカさあ」
「うん?」
小さな祭りのような騒ぎを私と一緒に遠くから眺めていた高ちゃんが、少し目を細めながら口を開いた。
「なんで成宮に青、渡したの」
「………………えっ!?」
思いがけない問いに、ギョッとする。
だって、あんな一瞬のやりとり、誰にも見られていないものだと思っていた。
まさか、見てたなんて。
「え、えっとー……あの……セイジのことだから、きっと予想外の色を使うんだろうなと思って……?」
「エリカ、前は成宮のこと呼び捨てにしてなかった」
「うっ……」
慌てて視線を泳がせて言葉を探したけれど、高ちゃんの目はじっと私を捉えて離さない。
指差しで指摘されると、もう何も言い返せなかった。
「うおーっ!今日も『in成宮ワールド』すっげぇな!」
そう言ってワッと美術部が盛り上がりを見せたのは、すっかり日が傾いて空が赤みを帯びてきた頃だった。
季節の変わり目だからか、数日前より確実に日が短くなっている。
長袖の制服や、カーディガンを羽織っている人もちらほら見かけるようになっていた。
「本っ当にすごいねぇ。
暗い色も使ってるのに、全然重たい印象になってなくて」
「マジで、この課題で青なんて使うやつ成宮くらいだよなあ」
「食べ物に青って一般人にはタブーにしか思えないわ」
同意の声がそこかしこから上がる。
セイジのフルーツは見事に私が渡した青がメインになっていて、おおよそ食べ物の色ではないその色合いが何故か目の前のフルーツそのものに見える現象が、より一層顕著に感じられた。
誰もが、その青がセイジの世界から来ていると信じて疑わない。
そんな中。
「エリカさあ」
「うん?」
小さな祭りのような騒ぎを私と一緒に遠くから眺めていた高ちゃんが、少し目を細めながら口を開いた。
「なんで成宮に青、渡したの」
「………………えっ!?」
思いがけない問いに、ギョッとする。
だって、あんな一瞬のやりとり、誰にも見られていないものだと思っていた。
まさか、見てたなんて。
「え、えっとー……あの……セイジのことだから、きっと予想外の色を使うんだろうなと思って……?」
「エリカ、前は成宮のこと呼び捨てにしてなかった」
「うっ……」
慌てて視線を泳がせて言葉を探したけれど、高ちゃんの目はじっと私を捉えて離さない。
指差しで指摘されると、もう何も言い返せなかった。