「…………えっ」
アトリエに戻った私の第一声は、それだった。
当然のように無人だと思っていたアトリエ。
しかしそこには、先ほどまではいなかったはずの、金色の髪の毛を可愛くくるくるのツインテールに結んだ女の子が立っていた。
ぱっちりまつ毛にうるうるのリップ。
血色感のあるチークが、白くて綺麗な肌をより際立たせていた。
あの制服は黄野高校だ。
ここら辺でよく見かける特別可愛い制服をよく着こなした彼女は、周りの花も相まって、おしゃれな雑誌の1ページから飛び出してきたのではないかと思うほどだった。
その子は後ろで手を組みながら、先ほど描きあげたクレオメをじーっと見ている。
甘い顔立ちで、いかにも可憐で守ってあげたくなるような女の子。
あんな顔で甘えられたら、女の私でさえメロメロになってしまいそうだ。
しかし、なんだろう。以前どこかで見たような……?
ほのかに既視感を感じるものの、どこで見たのかは思い出せない。
知り合い……?
いや、それはないか。
こんなに可愛い子、一回話したら忘れないだろう。
だとすると……どこかで見かけた……?
そこまで考えたところで、私の思考は止まった。
唐突に、私の視線を感じたのか、女の子が顔を上げてこちらを見たのだ。
未だ驚きの余韻で固まったままの私と、大きくてつぶらな瞳を持つ彼女の視線がバチっとぶつかる。
瞬間、彼女は思いっきり顔をしかめた。