「〜〜〜、わ、かった……」


「やった!」



観念してそう答えると、セイジはウキウキと描きかけのキャンバスを私のイーゼルに移し始めた。



やるのか……?


本当にやるのか、私は……!?!?



想像してもいなかった展開に、頭を抱えそうになる。



でも、セイジは一回やると言ったら曲げない人だ。


特に絵に関しては、テコでも動かせない。



覚悟を……決めるしかない。



「……セイジのクレオメは、何色なの?」


「うんとね、ここにあと、赤を足そうと思ってたかな」


「ピンクと、黄色と、赤……」



大体アタリが取られているピンクと黄色はどうにかなるかもしれない。


鍵は赤がどう入ってくるか……。



いや、セイジのことだ。描きかけの段階で置いてあった色が、後になってそれを元に大変身していることも少なくない。



こんなに画面上全体に置いてあるピンクと黄色が、実は最終的にはあんまり目立たないなんてことも……。



今は薄く置いてあるだけだから、ここからどのくらい濃くしていくつもりだったのかとか、そういう選択肢も無数にある。



やばい……考えれば考えるほどわからない。



「ふは、そんな力まないで」


「だって〜……!」



頭の中がぐるぐると混乱し始めた私に、セイジの笑い声が届く。