「わぁ……。なんか、隠し部屋みたい」


「まあ、実際そんな感じになってるかも。
……だから、何かあっても、隠し通せる」


「……え?」



地下に続く階段を降りるセイジの横顔が、一瞬感情を失ったみたいに感じた。



なん、だろう。今の感じ。



過去に……ここで何かあったのかな。




上と違って石造りになっている地下はひんやりとしていて、コツコツと響く足音が不気味だった。



流石にここを真っ暗なまま歩くことはしないようで、ここの壁に一定間隔でついているランプはしっかりと機能している。


それでも薄暗い感覚は捨てきれないのが、地下ってものなのかなぁと思う。



「エリカ、おばけとかは苦手?」


「うん、まあ……得意ではないかな」


「ここは大丈夫?結構雰囲気あると思うけど」


「うーん……。1人で来るのは無理かも」


「そっか」



なんて言って、前を歩いていたセイジは少し立ち止まって、私を待つ。


そしてそのまま、ほんの数歩で追いついた私の手を握った。



セイジは何も言わない。


ただ、私を安心させようとしてくれているのか、そっと手を引いてくれる。