「エリカちゃん、またおいでね」
「はーい。ありがとうございます!」
待ちに待った日曜日。
セイジのところに行く前にフラワーフロアに寄った私は、月森さんに手を振りながら、栄養剤の入った袋を片手に店を出た。
いっぱいおまけしてもらっちゃった。
今日は祥太郎さんいなかったけど、帰ってきたら怒られないかな?
「またお前は……」なんて呆れ顔で笑う祥太郎さんが目に浮かぶ。
ふふっと笑いながら、セイジの家に向かって歩く。
いつも通りの道。
先週ぶりのワクワクした感じ。
一つだけ、違ったのは。
「バーカ!!」
バン!と開いた見慣れた扉とともに、温室に向かってベーッと舌を出した知らない女の子が現れる。
すぐにプイッと横を向いた彼女は、面食らって立ち止まった私と目があった。
「………………」
「!…………っ」
大きな目が見開かれた後、気まずそうにそらされる。
そして、不機嫌そうな顔をした女の子はそそくさと早足で歩き出した。
金髪の長いツインテールが、私の横を通り過ぎていく。
……な、なんだったんだろう……?
今、セイジの温室から出てきたよね。
あ、もしかして噂の幼馴染さんかな……。
チラリと後ろを振り返って、彼女の後ろ姿を見る。
彼女の中ではもうさっきまでのことはなかったことになっているのか、既にモデル顔負けの綺麗な笑顔でなにやら電話をしているらしかった。