2.桜の舞う日に

春。
桜がヒラヒラと宙を舞っている。
冬野 くるみ
今年から高校生になった私は今、校門の前で立ちすくんでいた。
人見知りでコミ障で、とにかく人と接するのが苦手な私。
クラスの人とも喋れない私が、知ってる人がほとんど居ないこの高校に足を踏み入れることができるわけもなく。
だからと言って友達の少ない私は、一緒に学校に行く約束もしていないわけで...
私が一人青ざめていると、後ろから声がした。
「くるみ!おはよう!」
「あ、碧!おはよう!」

藤原 碧
碧って書いて「あおい」って読むの。
ポニーテールがトレンドマークの可愛い子。
碧は小学生の頃からの友達で、私が困っている時とか悲しい時にいつも隣にいて、私を元気づけてくれた凄く優しい子なんだ!
それに頭も良くて、よく私の勉強を見てくれるの。
碧は私の大切なお友達。
そして、親友なんだ!

「くるみ、こんな所で立っててどうしたの?」
碧が私の顔をのぞき込みながら聞いてきた。
「えーっとね…ちょっと怖くってさ…」
「あ、くるみの人見知り発動ですか。」
「やっぱり知らない人が沢山いると、緊張する...」
すると、碧が「あははっ」って笑って、
「大丈夫!私と一緒に行こっ!」
と言った。
私は笑顔で「うんっ!」と、答えると碧と一緒に歩き出した。

その時だった。

私の横を、一人の男の人が通り過ぎた。
サラサラと風に揺れる黒い髪。
少し寝癖がついているその髪は太陽の光を反射してキラキラと輝いていた。
モデルかと思うほど綺麗に整っているその顔には、
爽やかな笑顔が浮かんでいた。
(あの人、カッコイイなぁ…)
私はその人が歩いていくのを見ていた。
ハッとすると碧が、
「おーい!くるみ!行くよー!」
と、少し離れた所から叫んでいた。
「はーい!!」
と言って追いかけていった。

この時の私には想像できなかった。
私の高校生活があんなことになるなんて。