喧嘩してもお互い好きだから
別れられない。離れられない。
...最高かよ!...ほら、仲直りするんだよ。
今ここでハグする時だよ!

遥希「柿谷、顔...!」

突然聞こえた大高の声に
現実へと戻された。

はっ!やばいやばい!
かなり妄想に浸ってしまった。

青葉「おお...大高!いきなり何?」

遥希「妄想するのはいいけど
その顔。何とかした方がいいよ。
今のお前、かなりやばい奴だから。」

一体、私はどんな酷い顔をしてるんだ。
...見当もつかないが、まあいい。

さっきの男女は仲良さげに
食堂を出て行ったし。

青葉「で、何か用?」

遥希「ああ、柿谷、今日定時?」

青葉「午後からは会社にいるし
定時だけど。」

遥希「俺、取引先から直接行くから
ちょっと遅くなるかも。
とりあえずいつもの居酒屋で待ってて。」

青葉「うん、分かった。」

遥希「じゃあ、もう行くわ。
...あ、妄想は程々にな。」

青葉「はいはい。」

忙しそうに食堂を出て行った
大高を見送り、次なる
ターゲットを探す。

変わり映えしない毎日の中で
ようやく見つけた楽しみを
今更やめられるはずもなかった。