だけど、何も言えなかった。

根岸「柿谷さんは、どうなんですか?
この間、会社に来てた彼と
上手くいってますか?」

そんな私の心情を読みとってか。
はたまた、埒が明かないと思ったのか。
根岸さんは話の方向性を自然と変えた。

それは大きな勘違いだけど。
浮いた話の1つもない私の元に
やってきた百瀬さんの事が
よほど珍しかったのか満面の笑みで
そう尋ねる。

青葉「何でもないよ、彼とは。」

根岸「でも、柿谷さん。
あの彼の事、好きですよね?」