「じょ、冗談はやめてください! それより、いつまでここに居るつもりですか? そろそろ帰った方がいいんじゃないんですか?」


しかし並木主任は、社宅に帰っても特にすることはないからと、まるで自分の家のようにくつろいで動こうとしない。


「それに、お前のお母さんに夕飯も食ってけって言われたしな」


なっ、母さんったら、余計なことを……


「母さんがそう言ったとしても、それ、ちょっと図々しくありません?」

「そうか? 翔馬ももっと話しがしたいから、今夜も泊まって欲しいって言ってたぞ」


なんと翔馬まで……それも泊まって欲しいだなんて……アイツはアホか!


「いいからもう帰ってください!」


私の気持ちも知らず勝手なことを言う家族と、遠慮もなく私の家に居座る並木主任にブチ切れてしまった。


もうこれ以上、並木主任と関わりたくないのに……なんでこうなるの?


堪らずキッチンを飛び出し全力で階段を駆け上がると自分の部屋に入り、めったに掛けない鍵を掛けてその場に座り込む。


あぁ~あんなに飲むんじゃなかった。泥酔して眠り込んだりしなければ、私は唯に送ってもらって並木主任に裸を見られることもなかったんだ……


あっ、でも、どうして送ってくれたのが唯じゃなく、タクシーで来ていた並木主任だったんだろう。


その理由が知りたくてスマホを手に取り、ディスプレイをタッチする。けれど、いつもすぐ電話に出る唯が今日に限ってなかなか出てくれない。