その疑問に答えたのは母親だった。


「並木さん、ウチに泊まったのよ」

「ととと、泊まった? 並木主任、ウチに泊まったの?」


驚愕の事実に腰が抜けそうになる。そんな私を母親が一笑し、並木主任がウチに泊まることになった経緯を話してくれた。


――母親は、昨夜、酔っぱらって爆睡した私を送り届けてくれ並木主任をそのまま帰すのは申し訳ないと思い、お礼にお茶でもと誘ったそうだ。


並木主任もそこで断って帰ればいいのに、言われるままホイホイと家に上がり込んでしまったらしい。


そして翔馬も加わって母親が入れたコーヒーを飲みながら三人で話しをしていたのだが、いつしかコーヒーがビールに変わり、酒盛りが始まってしまった。そうなると必然的にお酒を飲んだ並木主任は車の運転ができなくなって帰れなくなる。


「それならウチに泊まっていけばいいってことになってね」


あっけらかんとそう言う母親を見つめ、大きなため息を付く。


「どうして勝手に泊めるかなぁ~。そういう時は私に相談してくれないと……」

「何言ってんの。パジャマに着替えさせようと裸にしても全然起きなかった紬に、どうやって相談するのよ?」

「は……だか?」

「そうよ。着替えさせるの苦労したのよ。並木さんが手伝ってくれたから、なんとか着替えさせることができたけど、私ひとりじゃとても無理だったわ」


ちょっ、ちょっと待って……並木主任に手伝ってもらったってどういうこと?