毎日怯えながら過ごしている。

「みーづき。」

ぼーっとそんなことを考えていると、後ろから聞き慣れた声で呼び止められた。
高い位置のポニーテールに、着崩した制服から伸びる長くて白い脚。
優衣だ。

「おはよ。優衣。」
「おはよう!」

こんな当たり前の会話が出来るのも、あと何回くらいだろう。

「なにぼーっとしてんのよ。早く行くよ!」

長い坂を登ったあとに待ち受ける、軽く500段は超えるであろう階段を登り始める。
この階段を登れなくなる日が来ると考えると、しみじみとした気持ちになる。