数分経った頃だろうか。
落ち着いた男の子に自販機で買った水を手渡すと、一口飲んで、ふぅとため息をついた。

「い、いや!お礼なんてとんでもないです!無事でよかったです」

私がにこっと笑うと男の子はなんというか、ふわぁっと笑った。

(お花みたい...)

暖かな笑顔だった。

「すみません、最近調子良くて大丈夫だと思ってたんですけど...まさかこうなるとは」
「何か大変な事情でもあるんですか?」

聞いてからしまった。と思った。
言えない事情かもしれないのに。

そんな私の心配をよそに男の子はケロッとして答えた。

「俺、女性が怖いんです。」
「え???」

女性が...?こわい...?

「前までは話す事もダメだったんですけど、良くなってきて、最近は接触しなければ大丈夫になりました」
「だから最近良くなったって事なんですね?」
「そうです。絶対触らないようにって避けてたんですけど、すれ違った同い年くらいの女の子にぶつかってしまって...」

あぁ、それでうずくまってたのか。