ラナとオルガはベッドに腰掛け、イワノフは椅子に座っている。

カイザーとグリゴリーは立ったまま、皆でこれまでの調査結果について話し合っていた。


「資料に書かれていた通り、謎の皮膚病はこの北側のみに発生していた」と言ったのはカイザーだ。

グリゴリーが懐からサッと取り出して広げたのは、この町の地図。

そこに赤い点が散りばめられていて、カイザーが説明を加える。

「患者のいる家に印をつけてみた。工場に近いほど、罹患率が高いのが一目瞭然だ」


真剣にそれを見ているラナが、カイザーに続いて口を開く。

「私は患者の症状を調べたわ。肌が赤紫にただれ、ひどいものは火傷のように皮がむけていた。範囲は全身。とりわけ手を患っている人が多く、衣服に覆われている部分は症状が控えめなようね」


ラナの報告を捕捉するのは、並んで座るオルガである。

「姫様の仰った症状を、図書館の医学書で調べたところ、化学熱傷だと思われます。薬品によるかぶれや火傷です」