なにが起こったのか一瞬、分からなかった。
さっきのジャクソンのように、誰かが__小金沢だ。
小金沢が今井に飛びかかった。
完全に不意打ちだったのか、今井は頭を強く打ちつけて動きも鈍い。そのままマウントを取ったが__?
今井の右手が、円を描くように小金沢の背中に向かう。
刺される?
「雷人‼︎」
洋子の声に、血の呪縛から解けた俺は、なにも考えずに頭から突っ込む。
真っ直ぐ2人に向かって__。
「ぐぁあああ‼︎」
声を上げたのは?
叫び声を上げたのはどっちだ?
自分でも聞き分けができないほど、俺は無我夢中で今井の腕に飛びつき、顔を上げる。
ナイフは、小金沢の背に食い込んでいた。
「ぐぁああああぁー‼︎」
耳をつんざく声を上げるのはでも、今井のほうだ。
身をよじって暴れている。
俺たち2人がかりで押さえつけるも、どこにそんな力があるのかと思うくらいの暴れっぷりだ。
「だ、大丈夫か?」
全力でナイフを引き抜く。刃先が少し刺さったようだが?
「俺なら心配ない。かすり傷だ」
そう言って軽く笑った。なんとも頼もしい限りだった__。
「こ、小金沢__あっ」
今井が名前を呼ぶ。
【小金沢篤】と。