何ごともなかったような顔してるけど……。

絶対すごい顔して脅したわよね?


宇佐美くん、

あんなクリーンな顔しておいてやることはかなりブラックだからな……。


宇佐美くんの声かけで、みんながほっとしながら掃除に戻ると、

私に向かって小さな声で言う。


「結衣さん、ちょっと」


そっと手を引かれると、彼は私を引っ張った。


「宇佐美くん、ちょっと何?」

「いいからついてきて下さい」



こうして手を引かれるがまま、彼に連れてこられたのは保健室だった。


「失礼します」


保健の先生はいないみたいだ。


「宇佐美くん?どうして保健室に?」

「腕、見てください。手を掴まれた時のあとがついてます」

「あ、本当だ……」


私が言うと彼は深くため息をついた。


「無茶しすぎ。俺がいなかったらどうしてたんです?」

「いなくてもどうにかしてたよ」