誰かが男の手を振り払った。


振り返ってみてみると、そこにいたのは宇佐美くんで

彼は男の腕を鋭くにらみつけた。



「痛てぇな……なんだテメェ」

「生徒会副会長の宇佐美です」


「へぇ生徒会の副会長が会長様を守ろうってか?」

「ヒュー!カッコいい〜」


不良3人組は宇佐美くんを取り囲み茶化したように笑う。


そしてひとりの男が私の腕を引っ張るとバカにしたように言った。


「こんな女のどこがいいんだよ」

「痛……っ」


すると、宇佐美くんはいつも以上に低い声で言った。


「さっき触るなって言いませんでしたか?」

「ぁあ?……ヒッ!」


彼が男の手首を握る。

その時どんな顔をしていたのかまでは分からない。


でもさっきまでいきがっていた不良たちの顔はさあっと青ざめていて、

何が起きたのか分からないくらい素直になつた。


「ゴミ、拾えますよね?」

「わ、わかりました」


腕をつかんできた男はそそくさと吐きだしたガムを拾う。


「す、すみませんでした」


そして逃げるように、その場所を走り去った。


な、なにが起こったの……?


彼がくるりとこっちに向き直る。

するといつものおだやかな笑顔で手をパン、と叩いた。



「さ、邪魔ものはいなくなりました。

皆さん続けましょうか」