こっちは確か、向こうが強引に抱きついてきたなんて言っていたっけ。


これの写真を2枚広めれば……。


彼が色んな人に手を出しているように見えるだろう。


そうすれば、みんなからの不信感がつのり、

彼は票を得ることが出来なくなる。


票が集まらなければ、生徒会長には上って来られない。


ぎゅうっと目をつむる。


自分らしくない考え方であることは重々承知であった。


自分がのしあがるのではなく、誰かを蹴落とす作戦。


これを実行した瞬間、自分の手は真っ黒に染まる。


でも……。


「……っ」


自分の居場所を確保するためには

これしか思い浮かばなかった。


私にはこれしかないんだ。


手が震える。
やらなくちゃ。


迷ってはいられない。


『生徒会長、やってみたらいいんじゃないかな?』

『結衣が生徒会長か……父さん嬉しいよ』


中学の頃。

周りの人との関わり方が分からなかった私。