その店を見つけた彩花は
いつもの通っている、静かで人気のない道にこんな店あっただろうか?と一瞬疑問に思ったが、興味を惹かれたので、寄り道をしてみることにした。
細い路地裏に、標準に比べたら少し小太りの彩花は通るのにちょっと苦労したが、店の外観にすぐ目を奪われる。
いい感じに古い建物。ステンドグラス風の窓。ぶら下がっている透明なガラスのライト。その外観に唾を飲む。
『星うさぎ堂』
木でできた看板にはそう書いてある
そして、店の中に入る。ドアを1寸程押すとキィ、と小さく音が鳴る。それと共にカランカランとドアの上のベルが鳴る。
「いらっしゃいませ。」
小さな女の子の声が耳に入る。その店の中には古いレジスターの前にうさぎの仮面をかぶった黒と白のドレスを着た少女が椅子に座っているのだ。
「お客様は何をお望み?時間を戻したい?恋を叶えたい?…あ、足を速くしたいの?」
と少女は口早に言う。もちろん彩花にはなんのことかさっぱりわからない
「ええ、あ、あの、えっと…」
言葉に詰まって何も言えなかった。