「つかさ~、ヤバくね?」
「何がよ?」

洗面台あたりで話し続ける女子。
嫌だ、長いよ。
制服に臭いなんか付いたら……。
考えただけでゾッとする。

「転校生って知ってた?」
「来るの?」
「らしい~」

転校生?
ああ、また哀れな人。
こんな学校に来るなんて。

……逃げるだけの私には関係ないか。

「…………」
「何か音楽バカらしいよ」
「何それ~、キモくね?」
「根暗だったらやるべ」
「オッケー、全然良いじゃん?」

また虐めの相談。
本当に嫌になる。
何で、私あんなことに快感を得ていたの?

バカじゃないの、私。
人を傷付けてたくせに。

「…………」
「ねえ、そういえばさ」
「あ?」
「キモ、転校しないね~」
「珍しくね?」

一瞬間が開いたと思ったら
今度は恐ろしい名前を出してきた。

「代田沙希と一緒じゃね?」
「だね~」

代田沙希……?

力が抜ける。
身体が震えてまた強張る。
怖い、怖い、怖い……!!
殺された人の名前なんて、
私の所為で殺された人なんて出さないで……!!

「っ…………!」

“ガタン!!”

「…………あぁ?」