「ほら、見てごらん」
「?」
「綺麗なオルゴールだねぇ」

おばあちゃんが大切にしてた。
綺麗な音の、オルゴール。
おばあちゃんが眼を細めて聴いて
私は透けている中を一生懸命覗いた。

懐かしい思い出。
あのオルゴールの音と、
一哉さんの音色は似てたんだ……。

「綺麗な音を出すにはね」
「なぁに?」
「頑張るんじゃないんだよ。ゆっくりでも良いから、楽しい、幸せだと思いながら笑っている事が大切なんだね」
「笑って?」
「そうだよ、美喜。忘れないでおくれ」

優しいおばあちゃんは
小さいときに死んでしまった。
死ぬ直前もおばあちゃんは優しかった。

「行ってくるよ、美喜」
「うん」
「お土産を買ってこようね」
「やった!」

そう言って、
もう帰ってこなかったおばあちゃん。
私の優しいおばあちゃん。
いつも笑っていたおばあちゃん。
ずっと大きいけど
一哉さんは似ていた。
喋り方じゃなくて
あの、雰囲気が似ていたんだ。