“ピーポーピーポー……”
「…………」
家に帰ってきたら、また後悔した。
『簡単に、変わるとか……悲しいこと、言わないでください』
勢いで言ったは良いけど、
一哉さんはあまり良い顔をしていなかった。
プレッシャーをさらに私がかけた。
嬉しいというのは、多分気休め。
彼が優しいからだ。
「……あたしの馬鹿」
薄く開けた目を、ゆっくり閉じた。
血潮が見える。
私は、また人を傷つけたんだ。
どうしようもない女。
力になってもらうだけで
自分は周りを傷つけてるだけだ。
最低だ。
“♪♪♪”
携帯が鳴る。
私の一番好きなカノン。
おばあちゃんの唄。
「…………」
ふとおばあちゃんを思ったら
私は頬を濡らしていた。