「こんにちわ」
「おう」

日差しの中でも透き通る肌を見せいていた彼。
一哉さんは焼けないのかな……?

何だか、日本人離れしていた。
高い鼻に青い眼。
名前は日本人だけど、違う。
ハーフなのかもしれない。

「今日は、お招きいただき……」
「いいから入って。俺も忙しいの」
「すいません……」

ペースが崩れる。
そもそも一哉さんは強引だった。
しかも、今いるところは豪邸。
とても都心だとは思えなかった。

「すご……」
「俺の部屋、ここだから」

またまた広い部屋に案内される。
一人っ子だとは思えないほどのスペース。
羨ましいというか、憎たらしいというか。

「ラフマニノフの組曲で」
「へ?」
「クラッシックのほうが分かりやすいだろ?俺も邦楽とか洋楽弾くの飽きてるし、丁度良いよな」
「あ、はい」

何だかよく分からないけど、
彼の音を聞けることに喜ぶ。
平日の私とは今日は違った。
まごつくけど、
素直に笑えた。

"♪♪~♪~"

奏でられる旋律が
昔習ったピアノを思い出させた。
派手な事のほうが良いと
ダンスに転向した。
今さら後悔する。

もしピアノを続けてたら
こんなふうに弾けたかもしれないのに。

「……凄い」

私は眼を閉じた。
風に揺られているようで心地よかった。

久しぶりに、無心で。
私は少し嬉しかった。