(……なんだし)
頭を掻く。
何だか、無性に腹が立った。
綺麗な音の持ち主は、良い人だと想った。
けど、夢だった。
夢に終わってはじけた。
馬鹿みたいだ。
何を期待してるんだろう?
「はぁ……」
“♪~♪~♪~”
耳に届く音は綺麗。
だけど、心は暗かった。
何だか悔しい自分が居た。
「帰るのは、ヤダ……」
『キモイよ、お前』
「嫌だよ……」
浴びせられた言葉の一つ一つが
恐怖となって、襲い掛かってくる。
逃げたい。
逃げたいんだよ。
助けて欲しい相手が、遠い。
優しいのが、期間限定のようで
ただ、心の中でうずくまって怯えてる。
弱虫だ。
反吐が出るほど。
弱虫で
泣き虫で
結局、独り。
馬鹿みたいだ……。
「っ……。ああああぁぁぁ……」
声は出たけど、小さかった。
小さな叫びだった。
けど、誰かに聞いて欲しかった。
何故?
分からない。
なのに、辛いよ……?
わけが分からないのに、辛い。
怖いよ、すごく。