思わず立ち上がって音源を捜す。
暗い街、何処を見ても明るい家。
この中から探すのは困難。

そんなことは分かっていた。
けど、諦めなかった。

『幸せぐらい、見つけてやるよ!』
とでも言いたかったのだろうか。

とにかく、走っていた。

“タッタッタッ……”

いつだって独りで、
うじうじ悩んでは寂しくて。
結局、何も解決できなかった。

でも、このときは違った。
自分で走って
自分で言いたくて。

あの音が聞こえたから。