「どうして、君は……笑わないの」
帰り際に見かけたその姿を追って、俺は君の隣でそう呟いた。
君の首筋から頭にかけて、小さく花達が風に吹かれては気持ちよさそうに体を揺らす。
花咲き病ーー奇病と呼ばれるその病がありながらも、君はこうやって俺と、俺達と何ら変わらない生活を送っている。
命の期限はよく分からなくて、長生きする人もいれば俺と同じぐらいで亡くなる人もいる。
そうネットで調べた記事には書いてあったけど、身内にその病を抱えた人がいるわけでもなくて、全然どんな病なのか俺は知らない。
「桐生(キリュウ)くん、は……私のこと不気味だとか思わないの?」
俺の質問には答えないで、君は俺にそう問いてきた。