私がじーっと先生の事を見つめて黙っていると
先生は困った顔で聞いてきた。

「なぜこんなに衰弱するまで助けを求めなかったのですか?」
私は「前にも言っていたと思うんですが、本当に死にたいんです。」と言って下を向いて黙った。

「綾瀬さん…。頭の中で声がしたりはしますか?誰の声かわからない声とかが聞こえてしまったりしますか?」
私はわからなかったのでふるふるっと頭を横に振った。

先生は真剣な目で言ってきた。
「では、不安障害ですね。綾瀬さんは心の病気です。ゆっくり薬と食事、それと病院で出来る限りの事をしましょうね。人と話すのは苦痛ですか?」

「人が怖いです……。もう誰とも話したくありません。」

「それを少しずつでいいので治療していきましょう。大丈夫ですよ。私に話してくれたと言う事は、綾瀬さんは確実に良くなってきてますから。」

先生はカルテに文字を書いてたけど私は病気って事がショックで、でも話せたんだって思った。
「綾瀬さん。お薬を出しますのでしっかりと飲んで下さいね。それとカウンセリングの方を後で紹介しますので、もう一度病室へ行きますね。ではお部屋に戻って結構ですよ。」
と先生との診察を終え、また部屋で1人になった。

ベッドに潜り込むとまた考えてしまう。
やっぱり私、死にたいんだって。

でもこの感情はなんなんだろう。
先生と話すのは嫌じゃなかった。