私はその言葉を発すると強く死にたいという願いを満たす為に勝手に体が動き、点滴を引き抜こうとした。

それを医者は見抜く様に私の手を拘束していた。

「なんで手が動かないの?」

私はガタガタとむなしくベッドで動けない状態の自分に凄く情けなくなった。


「…綾瀬さん。私はまだこの小さな病院に来たばかりで、私の担当した初めての患者があなたです。どうかそんなに死に急がないで下さい。とりあえずもう少し安定剤を増やしますね。私はあなたを救いたいのです。これからどんどん良くなりますから安心してくださいね。」


先生はまだガタガタと音を立て続ける私をなだめ、看護師に言いつけ安定剤を私に投与した。

頭がボーッとする……。

先生は私の手を握り「もう大丈夫ですよ。」と言った。

でも私は「嫌っ!触らないでっ!」と声を荒げた。

その後に、ふわふわとしてなぜか気持ち良くなってきた。

するとさっきまでの自分が嘘のように静かに眠りについた。



─────夢を見た。

昔の夢だ。

男性恐怖症だった私は恋愛に関しては全く興味がなかった。

そして恋愛色の強い高校時代には恋愛話しにとても敏感な年頃で、私みたいなのは本当に稀でイジメの対象になってしまった。


ある時、親友の智紗の事を大好きと言って、たわいもない笑い話をしていた。
それを聞いたクラスのリーダー的な女友達が
「姫愛ってさー!レズなんじゃないのー?マジキモいわ。」と言ってからかってきてからずっとみんなにシカトされたり、陰口を聞こえるように言われたりする様になった。


もう嫌。勝手になんでも言わないでほしい。
笑い声やLINEのバイブ音が私をもっと悲しくさせた。


────もう誰も信じない……。

その時から誰にも心を開かなくなった。