私は、怯えた表情で声のする方向を見ると
そこには医者らしき人が立っていた。

「綾瀬さん。あなたはとても衰弱した状態で発見されました。もう少し日にちが立っていたら取り返しのつかない事になっていたでしょう…。」

その男性の話し声すら嫌で、耳を塞ぎたかった。
本当に助かってしまった事も嫌なのに。

でもいつもよりなぜか気持ちが安定していた。

「安定剤を投与したので、徐々に気持ちが安定してくると思います。…無事だったのが僕は本当に嬉しいです。1人の人間を救えたのですから。」

医者はにっこり笑い、私に優しい声でささやいた。



でも……私は死にたかったのに。


「先生、死にたいです。」



私は本当に心からそう願って言った……。