「お父さんはね、いつも私の為に来てくれるの。」とおばあちゃんは嬉しそうに言う。

私は旦那さんがいつも来てるなんてちょっと羨ましかった。

うちの家族も昔は本当に仲が良かったのにな…と今の自分をまた責めた。

私がもっと家族を幸せに出来たはずなのに、それすら拒否してしまったから。

私……なにやってんだろう。

と考えていたらおばあちゃんの側にスーツ姿のおじいちゃんが来て、仲が良さそうに会話していた。

恋愛なんて、私には出来ない。

そう思いながら食事が届いたので席で食べる。
みんなが一緒に食べているのでなぜか安心した。

私も食べていいんだって気持ちになれた。

そしてまた部屋に帰り、薬をもらってベッドの中で眠りにつくまでに色々と考え事をしていた。

私の両親は本当に仲が良い。
そんな家庭に憧れて、私はお母さんみたいな専業主婦にいつかなりたいと言ってお母さんに料理を習っていた事もある。

お父さんは普通の会社員でお父さんが怒った姿を見た事がなかった。

優しい両親に囲まれて幸せだった。

あんな教師に変な目で見られて体まで触られて本当に嫌な思いさえしなければきっと今頃、彼氏とかが出来て普通の恋愛をしていたはずなのに。

背が高くて美人って言われても嬉しくなかった。
黒髪のストレートな髪もこの顔も体も全部あんな教師の為にある訳じゃないのに。

でも今更、恋愛なんてどうしていいのかわからない。

ただ先生のあの笑顔だけは本当に優しかったな、とまた先生の事を考えてしまってはやっぱり無理だと否定する。

っていうか先生なんだから私になんか振り向くはずないじゃん。なに考えてるんだろう。