美術館の定休日。

大型トラックが朝早くから館の裏搬入口に停まり、30点の大小様々な絵画が次々と運び込まれていく。

主催者のチーフだろうか、梱包された絵画を一点一点確認し所定の場所へ置くよう業者に手際よく指示していた。

私は何もできず、ただその忙しい様をぼんやりと見つめる。

チーフらしき人が私の方へ寄ってくると言った。

「この館の責任者は?」

「責任者とは館長でしょうか?今、別件で外に出ています」

「じゃ、今回の絵画展の担当者は?」

慌ただしい状況下だからか、そのチーフの口調はかなり早口でややいらだっていた。

「わ、私です」

ドキドキしながら小さな声で答えた。

チーフは一瞬眉間に皺を寄せて私を見下ろす。やっぱり私じゃ役不足って思ったんだろうか。

「じゃ、ちょっとこっち来て」

でも、チーフはすぐに気を取り直したかのように私に手招きし、既に梱包が外された三点の絵画が壁に立てかけられている場所まで連れていった。

三点とも25号くらいの割と大きなキャンバスに描かれた絵だ。

「この絵のうち、どれをトップとラストに持っていけばいいだろうか、君の意見を聞かせてくれないか」

チーフは腕を組み顎に手をやりながら難しそうな顔をして絵画を見つめている。

壁に並んで立てかけられた絵を私もチーフの横で眺めた。