「でも、どうしてアリスなの?」



あまりにも気になってしまったので、ふと口に出した。



「ああ、それはですね」



「他の方法とかなかったの?
なんだかとても回りくどい気がするけど」



私の疑問にねずみちゃんは少しだけ戸惑いを持った。



「まあ、確かにそれはあるよな」



「うーん、まあね」



私の疑問に2人は納得しているかのような表情をしている。



分かっていたけど、あえて口に出さないでいた感じだ。



「それがダメなんですよ」



戸惑いを持った表情をしていたねずみちゃんがそっと口を開けた。



「アリス以外で探す事はできないんです。あの人が最初に創ったのがアリスワンダーランドなんです。だから、別の方法で探したり、新たに創ったりはできないんです。そういう決まりなんです。そういう風に創り出されているんです。それは、まあ、思う事はありますが仕方ないんです。そういう決まりなんで」



決まり…。



決まりなら仕方ないのか。



「あの人は元の世界以外にも何か目的があるようですが、それは何なのかは分かりません。物語を進めさせているのは、何か別の意図がある気がします」



「そうなんだ…」



理解できたようなできていなような、そんな曖昧な感覚だ。



「理解できる事ではないと思います。でも、あなたはあの人に選ばれたアリスなんです。だから、どうかアリスだという事は理解してください」



(私はアリス…か)



なんだか夢みたいな話で、現実味が全く感じられない。



まるで本当に物語の中にいるようだ。