甘い香りが漂ってくる。



ここでもお茶会が催されていた。



「どうぞ」



「ありがとう、良い香りだね」



「ありがとうございます。ラビリスの紅茶です」



(ラビリス?)



聞いた事のないフレーバーだ。



「ああ、ベリー系の一種だよ」



聞き覚えのないフレーバーに音仲くんはそっと教えてくれた。



「ベリー?でも、そんな名前聞いた事ないけど」



「まあ、そうだよね」



2人はさも当たり前な表情で頷く。



「ああ、そうでしたね。この世界とあなた方の世界のものとはちょっと違うのかもしれません」



(違う?)



「向こうであって当たり前の物が、ここではなくて、ここであって当たり前の物があるように向こうではないのですから」



(ああ、そういう事か)



ここは別世界みたいなものなんだ。



でも、なぜそんな世界に行けたのかは全く持って疑問でしかなかった。



気にしても仕方ないと言ってくれるけど、気になって仕方ない。